ぱんたろ帳

おっさん

人生の天秤

ITで何かサービスを企画するにあたり、とにかく作る人がいないと机上の空論で終わるのは間違いない。
作る人、と一言にしているが、実際は『素早くダイナミックに、かつ訴求力を持ったものを作る能力』を持つ人だ。
これは何かを立ち上げる際に最も重要な能力で、かつ世の中で全く供給が追い付いていない能力でもある。その能力自体がビジネスのコアになり、ビジネスのコアは人海戦術や有象無象の組み合わせで突破できてはいけない。時間や人の数で何とかなるものは簡単にコピーされ、簡単にシェアや売上が追いつかれ、先行者の優位性が無いからだ。
俺はこんな考えでずっとやってきたので、勤め先はベンチャーだし志向もベンチャー、少数精鋭が当たり前だった。なので、こういった能力を得ること・高めることが俺のキャリアであり、そのために何をするかということが全ての仕事の念頭にある。

このような、いわゆる0から1を生み出すような能力とは別に、1を100にする仕事というものもある。
主にSIがそういった仕事で、これらは物量がものを言うので『組織』という構造を意識しないと正しく回らない。物理的に100人でやる仕事を1人が短期間でどうこうできるわけがないので、必然的に仕事が分業化されるからだ。
体制として作るチームと組み上げるチームが必要となり、こういった場面では調整や設計、つまり管理能力が重要視される。そのためSIでは頭数勝負となる開発者よりも、管理者の方が待遇が良くなる傾向があり、結果として評価も管理能力の比重が高い。
こういった奴隷管理業務は性悪説が前提となり、目の届く範囲に対象がいる必要があり、自由を縛ることが目的となる。
これは管理者を評価するにあたり、個々成果ではなく大局での責任という結果論になるからだ。実際作っているのは管理者じゃないのだから個々成果は関係ない。そうなるともちろんリモートワークなど認められない。評価が成果主義ではない以上、全ての奴隷は従順かどうかでしか判断されない。しかし、世界の多くの軍隊はこうしてできている。組織において最も重視されるのは指揮系統なのだ。

前述のとおり俺は0→1をターゲットとしたキャリアビジョンを持っており、1→100の方の仕事にはあまり興味が無い。これは自分の得意なことを伸ばしているだけであり、これが正しいわけでも偉いわけでもないし当然勝ち負けでもない。
まつもとゆきひろ大先生が言っている通り、社会人において苦手な分野を克服することは基本的に意味が無い。自分が苦手なことは誰かの得意なことであり、自分の得意な道を進む方が効率的な戦略だからである。


人間が一人でできることには限界がある。全て一人でやると時間が分散されてしまうからだ。そのため人は組織に所属するのが最も戦略的に正しい。先の通り苦手なことは得意な人に任せればいいのだ。それぞれが得意な人が、それぞれの得意なことに100%の時間を費やす。最も効率的に働く。
自分の人生の時間を有効的に扱いたい場合、結局、組織で働くという選択肢は必須となる。そして組織では最も指揮系統が重視され、命令に従順であることは絶対となる。
指示通りに動かないキャラクターを使ってたんじゃいつまで経ってもゲームをクリアできない。

果たして自由か時間か。
俺の人生は長いのか短いのか。